陸上循環濾過養殖プラントとは?
潤沢なサーモン需要の元、国内流通の大半を占める輸入養殖サーモン、とりわけ生食用の商材として扱われるノルウェー産生鮮サーモンは、空輸により国内に導入されております。日本から遠く離れたノルウェーからは、日本に到着するまで、最短でも水揚げから4日前後必要です。
その為鮮度面では劣っているにも関わらず、ノルウェー産サーモンは圧倒的な人気を誇り、日本市場を席巻しております。そこでもし国内で大型サーモンの安定的な生産を行う事が可能となれば、圧倒的高鮮度を保ったまま市場へ流通させることができ、消費者にはより高品質で鮮度抜群のサーモンを提供する事が可能です。
弊社が愛知県田原市伊川津町で開始した養殖事業は、国内初となるサケ科魚類の本格的産業レベルの陸上循環濾過方式の養殖施設(※RAS)(HTF-RAS プラント、特許取得済み)となり、海水を使った循環濾過成魚生産プラントしては、世界初の施設となります。
在来型の掛け流し式、又は海面生け簀の養殖方法ではなく、水を循環濾過し、水質のコントロールを行い、安定的、持続的に大型サーモンを生産することを目的としております。在来型に比べ、魚が快適な生育環境を維持する為、生産効率に優れ、安定的に生産が行え、また環境に対する負荷も圧倒的に少ない本システムは、今後更に進む食料問題などに対しても一石を投じるであろう次世代の持続可能な養殖方法として、世界的にも注目の新技術です。
※RAS(ラス)とは、Recirculating Aquaculture System の略。 循環濾過養殖システムの意味です。
次世代型養殖システム HTF-RAS について
林養魚場循環濾過養殖システム(HTF-RAS)は、飼育槽に注水した水を循環濾過をして繰り返し使用する事で、これまでの流水式養殖方法と比較し、ごく少ない注水量で養殖が可能です。
魚が排泄した糞や尿、水中に溶け込んだアンモニア、二酸化炭素は常時取り除き、また紫外線殺菌やオゾンの使用により病原菌の混入も防ぎます。
更に高濃度酸素水の添加、pHの調整など、魚に最適な環境を制御システムで常に維持し効率的な魚の生産を行う先進的な“新世代型養殖システム”です。
HTF-RASの特徴
- 使用する水量が少なくて済む。従来型の 1/100 程度。
- 省スペースで高密度飼育が可能。飼育密度 100kg/㎥を実現。
- 生育環境を常に最適に維持する為、魚が健康的で美味しい魚にすくすくと育つ。
- 環境に優しい。排泄物も 100%近く回収可能。魚の排出する二酸化炭素も回収可能。
- 自然災害や汚染水混入、疾病流入のリスクが少なく、更に使用水はすべて紫外線殺菌して使用するので完全無投薬が可能。